COLUMN | POT – PLANTS AND LANDSCAPE (合同会社パワーオフタックル)

2018.02.12
人の目が感じる光

先日のブログでは、人間の目が苦手とすること、人の目は光の強さを定量的に判断できないことを書きました。

実は、光の持つエネルギーと見た目の明るさの関係について、もう一点、理解しておいたほうがよいことがあります。それは、「人の目の感受性」について。人の目はどんな波長の光をとらえているか、どんな波長の光をとらえやすくなっているかということです。

少し難しい話になってしまうのですが、これを理解しないと光の強さ(および光量)について考えることができないので、僕自身、自分の理解を深めるためにがんばってまとめてみます。

 

○太陽光について

まず、基本となるのは太陽光。いろいろな波長をもった光の粒(光子)が地表に降り注いでいます(下図、Wikipedia「Sunlight」より転載)。

この太陽光のスペクトルのうち、人の目で感知できる波長は、上記の図の点線と点線に挟まれた“Visible”の部分、およそ光の波長380~750 nmの領域です。いわゆる、可視光線、“赤橙黄緑青藍紫(せきとうおうりょくせいらんし)”ってやつですね。
ちなみに黄色のグラフは太陽から地球に降り注ぐ太陽光の光の強さ、赤色のグラフは大気圏を通過後、地上に降り注ぐ太陽光の光の強さを指します。

 

○人が感じる光の強さ、明るさ

それでは、人の目が感じる「明るさ」とは一体どのようなものでしょうか?上記の図を例にすれば、点線と点線に囲まれた赤色のグラフの面積が「明るさ」に相当するのでしょうか?

ここで問題となるのが、人の目の特性、光の波長による感受性の違いです。人の目には可視光線のなかでも、波長によって捉えやすい光と捉えにくい光があります。

下の図は、人の目が各波長ごとに感じる明るさ(=比視感度)を表しています(Wikipedia「Photopic vision」より転載)。y軸は、人の目が最大感度となる波長で感じる明るさを「1」とした場合、他の波長で感じる明るさをその割合で表しています。

わかりにくいので補足します。

人の目は波長550 nm付近に感度のピークがあります。そして、その時に感じた明るさを「1」とします。では、波長の違う光、例えば波長600 nm付近の同じ強さをもった光を見たとき、先ほどの550 nmの光と比べてどれだけの明るさを感じるでしょうか?
グラフから読み取れば、人の目にとって波長600 nmの光は550 nmの光より感度が低いため、550 nmの時に感じた明るさに比べ、0.6倍(60%)程度の明るさしか感じないこととなります。

ひとつ前の問いに対して答えてみるならば、
赤色のグラフの面積がそのまま人の目にとっての明るさになるわけではなく、人の目の感受性を考慮し、感受性の悪い部分の波長の光を割り引いて考えないと、「人の目にとっての明るさ」は表すことができませんよ~
ということになります。

長くなったので、ちょっと休憩。
次回は、人の目の感受性が問題となるケースについて話を広げます。

 

※比視感度について
波長ごとに感じる明るさを人の体感で換算するため、当然ながら個人差があります。上記の図は、国際照明委員会(CIE)が用いる「標準比視感度」に基づいています。なお、暗い光と明るい光では最も明るく感じる波長のピークは異なり(明るい所では555nm、暗いところでは507nm付近の光)、それぞれ異なったグラフとなります。