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植物のこと
PLANTS

植物が健全に育つ多様な環境づくり 植物が健全に育つ多様な環境づくり

ある空間に植物を迎え入れる時、おしゃれな植物を選ぶことも大切ですが、その事と同じくらい大事なこと。それは、その空間が植物の生育のために十分な条件を備えているかを判断することです。 植物には本来、自然に自生している環境があります。そして、必要とする生育条件(日照量や降水量、土壌の質など)はそれぞれに異なります。たとえば、観葉植物は、その幼少期を、厚い樹冠によって日光を遮られている熱帯地方の森ですごすため、結果として耐陰性を獲得した植物だと言えます。 植物の多様性をふまえ、その場所の環境にあった植物を選ぶこと。あるいは、植物にあわせて、場の環境を整えてあげること。それはひょっとすると、私たちが暮らす環境そのものを見つめ直すということなのかもしれません。

植物にとっての環境
ENVIRONMENT
  • 光
    LIGHT
    光の持つエネルギーは、光合成によって化学エネルギーに変換されることで、植物の代謝過程の基礎となります。また光は、発芽や茎の伸長、花芽の誘導などを制御し、植物の生長や発達の要因となります。人間の目は光の強弱を補正するため、人間が見て明るい環境が、植物にとって十分に明るい環境だとはかぎりません。室内など、光が足りない環境では、LED などの補助光源を利用することもあります。
  • 水
    WATER
    草花の重量の70〜90%を占める水は、植物の体を構成する重要な要素です。植物の生理障害の多くは、水分の過不足が原因だと言っても過言ではありません。一方で水は、葉の気孔から蒸散していってしまうため、植物は失った水分を、常に根から吸収し続ける必要があります。雨が少なく高温の環境でも育つ、サボテンなどの多肉植物は、日中に気孔を開いて水分を失わなくて済む、特別な代謝経路を備えています。
  • 土
    SOIL
    土壌には、無機養分や酸素の供給、水分の保持、根系の支持といった、様々な化学的、物理的役割があります。森林土壌のような理想的な土壌を整えるためには、堆肥などの土壌改良材も有用です。最近の研究では、樹木の地上部と根系は、植物内のホルモンを通じて応答しあっていることがわかっています。ふだんは目に見えない根の活動が、そのまま植物の地上部の状態に反映されているのです。
  • 温度
    温度TEMPERATURE
    熱帯地方の植物は、日本の屋外では、低温が原因で枯れてしまうことがあります。気温は植物の代謝に必要な酵素の働きに影響を与えます。また、気温が低すぎると凍結傷害(エロージョン)といった物理的な障害も発生します。それぞれの植物が持つ耐寒性の指標としてハーディネスゾーンマップなどの活用が考えられます。
ランドスケープのこと
LANDSCAPE DESIGN

植物と人とをつなぐ景観のデザイン 植物と人とをつなぐ景観のデザイン

身近に自然を感じることの少なくなった現代だからこそ、景観において植物の果たすべき役割は、ますます大きくなっていると感じます。身の回りに常に「みどり」を感じていたい、そんな気持ちは人間にとって自然な欲求なのでしょう。景観はそれを構成する要素(植物などの自然、人の手の加わった構造物など)だけでは成立しません。景観とは、それを眺める人がいてはじめて成立するもの。視る人がどのように心を動かされるか、それが景観を評価しうるたった一つの指標です。景観をデザインするとき、その場所を訪れる人がどのように感じるか、時間を経て10年後、20年後、再びそこを訪れた時、何を想うか。そんなイメージを汲み取りながら、ランドスケープを形づくっていきたいと考えています。

PROFILE
合同会社 パワーオフタックル
代表榎木 敦ATSUSHI ENOKI

1978年、石川県金沢市生まれ。
神戸大学発達科学部を卒業後、兵庫県立淡路景観園芸学校にて植物や造園技術について学ぶ。株式会社空間創研(京都市)にて景観デザインについて広く携わり、その後、有限会社和想(大阪市)にて、ランドスケープの設計、施工を手掛ける。樹木医(登録番号:2105号、2012年資格取得)。
2012年、独立。2015年、合同会社パワーオフタックルを設立。社名の「パワーオフタックル(POT)」は、大学時代に熱中していたアメリカンフットボールの、最も好きだった戦術から。