2018.02.12

人の目が感じる光 その2

前回のまとめ)
太陽光のうち、人が感じる光(=可視光線)は、およそ750 ~380 nmの波長の光。
可視光線の波長の中でも、人が感じやすい光、感じにくい光がある。

 

○問題となるのはこんな時

お部屋の明るさを測りたいとき、「照度計(単位:ルクス)」という計測器具があることはみなさんご存知だと思います。この器具は人の目にとっての明るさを評価する器具ですので、計測部は疑似的に人の目をシュミレートしています。
具体的には、下の図(※先日の図を改変)の灰色部分、人の目の感受性の低い波長域においては半通過性のフィルターを設置することで光の量を制限し、人の目と同様の感受性を再現しています。

人が見る明るさ(=照度)に対して、植物が光合成に利用する明るさは当然ながら同じではありません。植物は上記のグラフで灰色に示された波長の光も光合成に利用しています。

この仕組みを理解すれば、照度計によるルクスを単位とした計測で
「観葉植物を育てるには○○ルクス必要!」
「○○ルクスの明るさがあれば植物は元気に育つ!」
という判断は、ちょっとナンセンスであるということが理解してもらえると思います。

 

○まとめ

長々と続けてしまいましたが、言いたかったことは、

「光の強さ」と「人が感じる明るさ(=照度)」とは全く別の物だよ~

ってことです。そもそも単位から違いますもんね。

最近は、LED光源が安くなったこともあり、人工光源による植物の栽培も可能性が広がりました。照明器具の剪定にあたってはカタログとにらめっこすることになります(サンプルを購入すれば早いのですが、1灯20万円とかすると、ちょっと...)。そんなときは、照明器具の性能を表す単位「W」や「ルーメン」「ルクス」、対して自然光の「W/m2」「J/m2 s」、植物の「μmol/m2 s」を行ったり来たり。

特殊な事例だとは思いますが、頭の片隅に残してもらえればうれしいです。

(おまけイラスト。照度計について調べてた時、CCS株式会社のHPのイラストがよかったので...すごく詳しい解説がありました)